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At-Globeの 専門用語の簡単解説
クリティカルチェーン(CCPM: Critical Chain Project Management) サプライチェーンマネイジメント(Supply Chain Management) スループット会計(Throughput Accounting) 制約条件の理論(TOC: Theory Of Constraints)
(五十音順)
(CCPM: Critical Chain Project Management)
クリティカルチェーンとは、制約条件の理論(TOC)の考え方をもとにしたプロジェクト管理の手法です。 一般にプロジェクトの半数以上は予定通りに終了しないといわれています。その大きな原因の一つは、計画段階で個々のリソース(人)が安全余裕を持って期間を見積もることから起こる、早く作業が終わっても次にまわさないという「パーキンソンの法則」や、まだ余裕があるので後回しにしようとする「学生シンドローム」にあるといわれています。 これをなくすために、クリティカルチェーンではまず各リソースの作業予定の期間を半分に見積もります。これにより先ほどの問題は回避できるわけですが、もちろんそれだけで全ての作業が予定通り終わるわけではありません。 そこで次に、プロジェクト全体で最も時間のかかるライン(これをクリティカルチェーンといいます)を探します。そしてそのラインを最優先にした計画をたて、さらにラインの中の最も負荷の高いリソース(制約条件)を中心に適度なバッファー(緩衝:時間的余裕のこと)を作ります。プロジェクトのリーダーは、クリティカルチェーンであるラインの進捗状況とバッファーの減り具合を管理していくことになります。 ちなみに、クリティカルチェーンの考え方でよく使われるPERT(Program Evaluation and Review Technique)というものがありますが、現在ほぼ同じ意味で使われています。
サプライチェーンマネイジメント(Supply Chain Management) 生産から販売までの一連の工程を鎖(Chain)として考え、情報を共有し全てのラインを連動させることにより効率化を図る手法です。 それぞれ材料の仕入れや生産、流通、販売を行う複数の企業がパートナーとなり情報を共有することで、需要にあわせて生産量、流通量そしてそのタイミングをリアルタイムで決定していきます。これにより売れ残り(不良在庫)を減らし、かつリードタイム内の仕掛り在庫も圧縮することが可能になります。さらに欠品の減少や商品の配達までの時間短縮が期待でき、顧客へのサービス向上という利点もあります。当然ながらこの手法はTOC(制約条件の理論)のドラムバッファーロープやジャストインタイムなどの考え方を応用して考えられたものです。 ちなみにバリューチェーン(Value Chain)という言葉が同義としてよく使われますが、本来これはサプライチェーンよりももう少し視野を広げた概念で、顧客に最高の価値(Value)を付加した商品(またはサービス)を最も効率よく提供することを目的とします。つまり、サプライチェーンの考え方をもとにさらに昇華させたのがバリューチェーンといえます。 また、これを実現するには膨大な量のデータを統合し管理していかなければならないため、一般的には統合業務パッケージ;ERP(Enterprise Resource Planning)と呼ばれるソフトウエアが必要となります。
Thinking processとは、主に生産工程で使われている制約条件の理論を人間の思考に当てはめ、問題解決手法として応用したものです。 多くの望ましくない問題が存在するときに、それらの根本になっている問題(中核問題)をつきとめ、それを制約条件と考えます。制約条件以外の多くの問題は現象(症状)に過ぎないのでそれぞれに対応はせず、制約条件にのみ集中的に資源を注入します。そしてその制約条件である中核問題を解決するために、思い込みや矛盾、個々が持つ立場上の利益などにより対立しあう考え方の違い、などの障壁について、全体最適を前提にしたいくつかのステップで打開していきます。 思考プロセスについてもう少し詳しく知りたいという方はこちらもご覧ください。
シックスシグマとは統計学をつかった品質管理手法の一つで、1979年にモトローラ社から生まれました。 まず顧客のニーズや商品満足度からその商品を厳密に評価し、本当に顧客のニーズにあった商品を提供できているかを調べます。そしてその厳しい評価基準に適合しないものが欠陥商品とされ、100万個生産したうちの欠陥商品の比率によって次のように分けられます。 3シグマ=66,800 / 1,000,000=6.68% 4シグマ= 6,210 / 1,000,000=0.621% 5シグマ= 233 / 1,000,000=0.023% 6シグマ= 3.4 / 1,000,000=0.0003% 一般的には、3以上から4シグマくらいで合格点となるケースが多いのですが、欠陥商品ができる原因を徹底的に追及し改善していくことによって6シグマに近づけようという手法です。これにより結果的にコストは抑えられかつ顧客満足を得られるということです。
別名「カンバン方式」とも呼ばれるジャストインタイムとは、需要にあわせて生産を行うことでリードタイムの改善と仕掛り在庫の圧縮をするものです。 販売が成立した時点で生産現場に何らかのシグナル(看板)を送ることにより、必要な製品を必要な数量だけ生産します。これにより、余計な生産活動が減るためにリードタイムの減少や仕掛り在庫の圧縮を実現でき、効率化及びキャッシュフローの改善が期待できます。 もともとはアメリカの自動車メーカーであるフォードが20世紀初頭に提唱したといわれていますが、有名なのはトヨタ自動車のカンバン方式(シグナルとして看板と呼ばれる連絡用の板を使用していたためこう呼ばれています)です。 ジャストインタイムの手法では当然ながら若干の製品在庫を販売店が持つわけですが、最近ではインターネットの普及で電子商取引が活発になりBTO(Build To Order) と呼ばれる注文を受けてから生産(最終組み立て)を行うスタイルが出始めました。コンピューター製造販売大手のDELLコンピューターが代表的な例として挙げられます。
スループット会計(Throughput Accounting) 制約条件の理論で紹介された企業会計の考え方で、従来のコスト重視型ではなくスループット重視型といえます(制約条件の理論の説明も参考にしてください)。 一般的な会計手法では、企業の最大関心は商品1個当たりのコストをいかに抑えるかということでした。そのためには個々の生産工程の生産能力いっぱいまでフル稼働させて数字上生産性が向上したと満足していたわけですが、スループット会計はそれを否定しました。 スループット会計での言葉の定義は以下の通りです。 ・スループット=販売によって生じた利益=売上−在庫(インベントリー) ・在庫 =商品になる全ての材料・在庫(仕掛り在庫を含む) ・業務費用=在庫をスループットに変えるために必要な全ての費用(人件費を含めたコスト) 企業にとって重要なことはコストを抑えることではなく、制約条件の理論を使って生産ラインをコントロールすることによりスループット(販売したことによって得られる利益)を上げることであり、それが最優先課題となると考えました。また、次に重要なこともコスト削減ではなく、在庫(仕掛り在庫を含む)の圧縮としました。これらはリードタイムの圧縮と仕掛り在庫の減少につながり、利益の増大、工期の短縮に加えてキャッシュフロー及びROI(投資収益率)の改善にもつながるわけです。
制約条件の理論(TOC: Theory Of Constraints) 制約条件の理論(TOC)とは全体最適を前提にして、生産ラインにある制約条件(Constraints)を最大限に活用することにより、最大のスループット(販売したことによって得る利益)を得ることができるという理論です。 生産ラインの中の最も弱い(その工程の持つ能力に対する負荷が最も大きい)工程を「制約条件(ボトルネックとも言います)」と呼び、生産ラインの生産能力は制約条件の生産能力以上には上がらない、すなわち制約条件がその生産ライン全体の生産性を決めると考えたのです。 そこで、制約条件を最大限効率的に稼動すると同時に、それ以外の工程を制約条件の処理スピードに従わせてコントロールします。つまり制約条件以外の工程はフル稼働しないことになります。これにより、スループットの増大と仕掛り在庫の減少、合わせてキャッシュフローの改善が得られます。 このTOCのもうひとつの特徴として、コスト管理を最重要とする一般的な会計手法ではなく、スループットの最大化と在庫の圧縮を最重要としたスループット会計を提唱したことも挙げられます。
生産ラインからベルトコンベアをなくしライン生産からセル生産へ切り替え、商品を1つずつ生産する方式です。これはさらに1つの商品を一人で全て完成させる「一人生産方式」と、複数人が共同で生産する「複数生産方式」があります。 ベルトコンベアでの生産では一番作業が遅い人に合わせて作業スピードを調整しなければならないのに対して、セル方式ではそれぞれの最大のスピードで作業できるので一人一人の作業効率が良くなるという考え方です。また、もうひとつの大きな利点は、ベルトコンベアが不要なため工場施設の大きさがかなり節約できるということです。 最近では、キャノンがセル方式での生産体制を導入したことが大きく報じられました。
ドラムバッファーロープとは制約条件の理論の別名といっても良いのですが、それより少し広い範囲で活躍しています(制約条件の理論の説明も参考にしてください)。 工場内、あるいは生産・流通・販売の経路全体を一本の鎖と考えたときに、その鎖の中で最も弱い輪がその鎖の強度を決める、すなわちその輪が制約条件となるわけですが、この理論ではこれをドラムと読んでいます。つまり、制約条件となるドラムの処理スピードに他を従わせるわけですが、制約条件がドラムをたたきロープで全工程とつながりあうことで、他の工程にテンポを指示し遅れが発生しないように連絡を送るということです。 また、バッファーというのは緩衝という意味ですが、制約条件に若干の時間的余裕を持たせるという意味です。これは様々な不測の事態(マーフィーとも言います)に対応できるように適度なバッファーを入れておくものです。
ボトルネックとは、生産ライン(あるいはサプライチェーン全体)の制約条件となっている工程のことです。制約条件については制約条件の理論(TOC)を参照してください。 ボトル(ビン)の形状で一番細くなっているビンの先の部分をボトルネックといいますが、同様にライン上の工程で能力に対する負荷が最も大きい制約条件をそれに例えた表現です。
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